1 はじめに
私はスポーツ医学を学びたくて医学部という進路を選びました。
私は高校に野球で進学し、野球で大学にも進学しようとしていました。私は健康を目的としたスポーツではなく、競技スポーツとして野球をやっていました。スポーツ医学を学びに医学部へ進路を変更したのは大きな怪我があったことが一番の理由です。怪我を抱えたまま野球を続けていく自信がなくなりました。怪我は過度の練習による疲労骨折で、腰の骨が欠けてしまうというものでした。それでも、野球が好きで、ずっと野球に携わっていきたいと考えた結果、スポーツ医学を学び、私のような思いをする選手を一人でも減らしてやりたいと考えました。
今回スポーツ医学に興味があるということで、メンタルヘルスの中のヘルスプロモーションを選びました。文献がたくさんあったので中でもスポーツに関するトピックスのものにしました。
一つ目の文献はスポーツを定期的にしている人としていない人とでのストレスレベルや生活満足度について調べたものである。
二つ目の文献は競技スポーツに対してスポーツ医・科学の担っている役割、また、健康づくりを目的としたスポーツに対するスポーツ医・科学の役割についてのべたものです。
2 テーマ
『メンタルヘルス ヘルスプロモーション』
3概略
その1
企業フィットネスにおけるトピックス:企業内健康づくり活動とメンタルヘルス
〜運動を中心とした活動と精神健康度との関連〜
須藤美智子
自殺者数の増加により、厚生労働省より2000年に『事業場における労働者の心の健康づくりのための方針』が提示された。
今では『予防的メンタルヘルス活動の確立』を目指して、さまざまな活動を展開している。
今回は、とくに運動を中心とした健康づくり活動とメンタルヘルスとの関連について得られた横断的結果を紹介し、今後の企業内のメンタルヘルス対策における運動の効果を明らかにし、運動を媒介して、今後のメンタルヘルス対策推進の一助としたい。
20〜59歳の某企業従業員12,447名(男性9,162名、女性3,285名)を対象に、運動習慣とメンタルヘルス関連を調べた。メンタルヘルスの指標として,GHQ12項目を用い、GHQ法(0・0・1・1)で評価した。さらに、ストレスレベル(ストレスをまったく感じない状態を1、最も激しく感じる状態を10とし、10段階で評価した。)、仕事の満足度および生活満足度を(満足度が低い状態を1、最も高い状態を10とした。)について、自記評価票に回答させた。次いで、『日常生活において運動をしているか?』との設問に対し、『A、定期的に行う』、『B、たまに行う』、および『C、しない』の回答を設定し、いずれかを選択させた。A、B、およびC群それぞれの“仕事および生活の満足度”、“ストレスレベル”“GHQ得点”の結果は次のようであった。
A群、B群およびC群の順に、仕事や生活満足度が高く、ストレスレベルやGHQ得点は低値を示しA群、B群およびC群との間には有意差が認められた。
また、1997〜1998年の2年間にかけて、連続回答した男性3、722名を対象に次のような設問を行った。『2年間定期的に運動したもの(運動習慣群)』、『2年間にわたり運動習慣のなかったもの(非運動群』』、『97度には定期的に運動を行っていたが、98年には運動はしなくなっていた(運動中止群)』および、『98年度に初めて運動を開始したもの(運動開始群)』に分け、メンタルヘルス状態を比較した。結果、ストレスレベルは運動習慣群か2年間とももっとも低く、仕事および生活満足度は高かった。しかし、非運動群はストレスレベルが最も高く、仕事および生活満足度は有意に高かった。また、運動中止群は運動を止めた年に、ストレスレベルは高まり、仕事および生活満足度は低下した。逆に、運動開始群は運動を始める前の年に比べて、運動を開始した年のストレスレベルは低下し、仕事および生活満足度は高まっていた。
同じように健康調査表を用い、運動種目とメンタルヘルスの関係、また、運動量とメンタルヘルスの関係などの調査も行なった。
運動の種目は、男女ともに好みの運動を実施することがメンタルヘルスに好影響をもたらし、特殊な運動種目がメンタルヘルスに貢献するわけではない、という結果が出た。
また、運動量の調査はウォーキングの1週間の平均歩数と各メンタルヘルス指標との関連を調べた。3、000歩から2,000歩刻みで(3,000・4,00〜6,000・7,000〜9,000・10,000〜12,000・13,000〜15,000・16,000〜)群分けし、各メンタルヘルス指標との関連を比較した。結果、1日平均10,000〜12,000歩程度の歩行が最もストレスのレベルが低く、仕事および生活満足度においても最も高い良い結果となった。
その2
エリートスポーツと医・科学サポート
片寄 正樹
競技スポーツがスポーツ医・科学に求める第一のものはメディカルチェックである。内科的、整形外科的諸問題が競技力向上の妨げになっていたり、スポーツを行なうことによって選手あるいは一人の人間として健康を損なったり、あるいは突然死を遂げることがあってはならない。これらを検討するのがメディカルチェックである。
第二に体力測定として運動能力を個々の要素別に測定することがあげられる。これによって、自己の体力の変化を知り、また、他者のそれと比較したり、好調時や不調時を知ることができ有効利用することができる。
第三はバイオメカにクス技術を用いたフォームの記録と分析である。この手法を用いて、優秀な者の動きと自分の動きを比較することによりトレーニングの参考にすることができ、スポーツ障害の予防に役立てる研究が進んでいる。
第四はトレーニング法である。医・科学的知見にバイオメカニクス的分析結果を組み合わせて、ひとつの動作に必要な筋を鍛える方法、または高知トレーニングを取り入れて持久力を向上させる方法がある。
第五は選手の精神的側面である。競技スポーツは、同じ素質をもつ選手に同じ練習メニューを与えても、同じ結果がでないことは周知の事実である。競技成績の向上には勝利への執念、闘争心、研究心、忍耐力、自信に加えて団体競技では協調性など多くの精神的要素が必要であり、これらが複雑に絡んで結果に結びつく。
第六は水分摂取を含む栄養面でいる。高温時の水分摂取の重要性、持久的競技におけるカーボローディングなどの炭水化物の摂取の方法、脂肪の効率のよい燃焼、アミノ酸摂取の重要性や筋トレーニングの実施との時間的関係などが近年では重要視されている。
第七は近年、次第に重要な課題としてとりあげられてきたドーピングの問題である。これらは多くの努力にもかかわらずいまだ違反者があとを絶たない。違法な薬物をすべて検出するための研究が進んでいる。しかし、一方で検査を切り抜けるための研究も進んでおり、いわばいたちごっこを繰り返しているのが現状である。
最後に、第八はいわゆる素材の発見である。一流の指導者から見れば、選手の素質、いわゆる将来性を見抜くことはしばしば可能である。しかしその見通しは普遍的一般論的事実によるものではなくて、そこには経験と勘によって支えられた眼力が入る余地がある。この点に関して近年分子生物学的手法による遺伝子の検討が用いられはじめている。
また、健康作りを目的としたスポーツ医・科学もある。近年、従来成人病と呼ばれていた一連の疾患群を生活習慣病と呼び改め、これらの疾患の成因、増悪因子として運動不足重要視している。糖尿病、中等症以下の高血圧、虚血性心疾患の一次、二次予防などに適切な運動が有効であることはすでに世界的コンセンサスを得ている。これらの運動が効果的である理由は、適切に処方された有酸素運動がエネルギーを消費して、身体の過剰な脂肪を燃焼させることにあるが、近年ではそれに加えてインスリン抵抗性、肥満、高血圧、脂質代謝異常などからなるいわゆるメタボリックシンドロームの改善に寄与するおことが重視されている。運動は結果的にこれらの改善に寄与し、これらをリスファクターとする虚血性心疾患の一次、および二次予防をもたらし、その結果寿命の延長をもたらす可能性が示唆されている。また、運動が筋力を向上させ、平衡感覚の改善をもたらすなど、身体適性を向上させる。
4 考察
実験結果がしるすように、スポーツと健康は切れない深い関係がある。運動習慣がある人は運動習慣のない人と比較するとストレスレベルも低く、仕事・生活満足度も高くなっている。また運動習慣のなかった人が運動を始めることによって、ストレスレベルは低くなり、仕事・生活満足度も高まっている。この結果からもはっきりと運動が身体やメンタルに好影響を与えていることがわかる。また、平均歩数を測定する実験により、運動もやればやるだけよい、というわけではなく適度な量の運動が望ましいことがわかる。この調査からスポーツを定期的に行うことによって、メンタル面も健康になり、ストレスの発散などにつながる。スポーツによるストレス発散することは鬱に追い込まれる患者が減少することにつながる。そのスポーツも特殊なスポーツというわけではなく、個々の好みのスポーツが最適だというのだからそんなに大変なことではない。ぜひ、これからより多くの理解を得て世に浸透していってほしい。メンタルのケアが出来ることによって仕事が充実し、効率も良くなるなら、会社にとってもプラスなので、企業全体で取り組んでみてはおもしろいように思う。
また、エリートスポーツに対するスポーツ医・科学は今まで多くのことが闇の中だったが、ここ最近で著しい進歩を遂げている。これからも多くのことが明らかになっていきスポーツ全体に多くの影響をもたらすことになると思う。野球の投手の肩のアイシングをはじめ、怪我したときのテーピングや酸素カプセルなど、多くのスポーツ医学の発展がスポーツの現場に登場し活躍している。昔、痛めると選手生命の終わりだった投手の肩も手術することで回復するようになった。その手術も今までは海外でばかり行われていたが、最近では日本国内でも行われはじめている。 私もこのスポーツ医学の発展に貢献できるように頑張りたい。
5 まとめ
今回二つの文献を読んで、一番感心したのは適度な運動が健康の維持または改善にとても良い効果があるということです。運動習慣のあるもののストレスレベルは良好に保たれ、職場での仕事満足度や生活満足度も高くなっている。私も学生ではあるが、運動をしていない期間は生活に張りがなくダラダラしてしまい、無駄に時間を過ごしてしまったりして、生活満足度は低下しているように感じた経験はある。逆に、部活動に忙しいときは、生活にも張りがあり、時間を見つけて勉強したり、イベントをこなしたりと生活満足度は高くなっている。
授業で鬱患者のビデオを見たが、鬱患者さんはみんな共通して不安に刈られたり、張りがなく頑張る気力が起こらなくなったりとコメントしていた。経済状況が厳しく上からのプレッシャーや過重労働によるストレスなどが原因とされているが、こういったストレスをスポーツで発散させられている人は鬱にかられることもなく、仕事にも頑張って立ち向かえているのでは?と、私は思いました。
一つ目の文献の実験の結果にも出でいるように、運動習慣のある人と運動習慣のない人とでははっきりとストレスレベル、仕事や生活満足度の数値として結果に出ている。これはわたしの考えですが、スポーツをしている人はスポーツでリフレッシュした分、気持ち良く仕事にものぞめ、仕事がしんどいときでもその先にあるストレス発散の機会があるため頑張れるし、踏ん張りが利いて良い仕事が出来るのではないだろうか?私の大学での勉強はそうである。テスト期間の部活動がないときほど時間がありすぎてダラダラしてしまい効率がとても悪く、ストレスもたまり悪循環となる。これからのテスト勉強は、こういった事実を踏まえて、適度にリフレッシュしながら、効率良くこなしていきたい。